
この日の“もて耐”決勝が、2013年のもてぎ4大耐久の最後を飾るイベントとなった。前日土曜日が快晴だったのとは対照的に、この7時間決勝日は厚い雲で覆われた朝を迎えた。7時50分からのブリーフィング終了後に雨が若干降り出したことから、9時10分から10分だけ設けられていたフリー走行にはほとんどのチームが出走。走行義務は無いものの、コース上の状況確認を含めて参加したチームが多かった。
午前10時、いよいよ迎えた7時間耐久レースは、直前にまたもや小雨が振り出したものの、幸いそれ以上酷くなることはなく、全車が安全にスタートをすることができた。まずホールショットで1コーナーを駆け抜けたのは、【#1 YSSレーシング・ブルドッカータゴス】。2番手に【#83 YSSレーシング・マーキュリー】、3番手に【#42 YSSレーシング・マーキュリー】と同じチームが順調な滑り出しを、序盤のトップグループを形成した。そのトップ集団を追いかけるのは、ポールポジションスタートの【#12 CLUB1.2FKクシタニ川口】で、5周目には遂にトップへと浮上し、後続を引き離しにかかっていった。
ところが、これで簡単にトップを走行させてくれるほど、“もて耐”は単純ではない。後続で虎視眈々と上位進出を狙っていた【#4 チーム ペンスケ】が【#12 CLUB1.2FKクシタニ川口】を捉えてトップへと浮上。その後しばらくは、この2チームの緊張感ある接戦と、それを追いかけるYSSレーシング系の3台の争いは目が離せない展開となった。
スタートから約1時間が過ぎる頃、各チームが給油とライダー交代のために最初のピットインをするチームが増加。その中、トップ争いを繰り広げる上位チームは、ギリギリまで周回を重ねる作戦を決行。その結果、スタートから約1時間10分が経過した頃に、30周で【#4 チーム ペンスケ】がピットイン。続いて、35周でそれまでトップを走行していた【#12 CLUB1.2FKクシタニ川口】、その翌周の36周で【#42 YSSレーシング・マーキュリー】と【#1 YSSレーシング・ブルドッカータゴス】がピットインを順次敢行した。この上位陣のピットインのタイミングで、【#4 チーム ペンスケ】がトップに浮上しようとしていた矢先、なんとこの【#4 チーム ペンスケ】に対してペナルティーストップボードが掲げられた。イエローフラッグ区間中の追い越しが発覚し、ここで痛恨の3分のピットストップが課せられて、トップ争いから脱落してしまった。
この後、時間が経過する度にトップと同一集回数のチームが減少し、2時間経過時点では、【#12 CLUB1.2FKクシタニ川口】、【#1 YSSレーシング・ブルドッカータゴス】、【#42 YSSレーシング・マーキュリー】、【#30 オートテクニックスポーツ】、【#19 ブルドッカータゴス&東洋テクノ】の5チームが50周を周回。そして、3時間経過時点では、【#12 CLUB1.2FKクシタニ川口】、【#1 YSSレーシング・ブルドッカータゴス】、【#30 オートテクニックスポーツ】の3チームが74周を周回し後半戦へと突入していった。
スタートから半分が過ぎ、4時間経過時点でも【#12 CLUB1.2FKクシタニ川口】が97周を周回し、それに【#1 YSSレーシング・ブルドッカータゴス】が続いていたが、なんと90度コーナーで痛恨の転倒を喫し、ここでトップ争い戦線から離脱してしまった。その結果、2番手に浮上したのが序盤から淡々と走り続けトップを狙っていた【#30 オートテクニックスポーツ】だった。
通常は6回のピットインがセオリーとされる中で、同チームは秘策として5回ピットイン作戦を敢行。これが、レース終盤に来て、ラップタイムで圧倒する【#12 CLUB1.2FKクシタニ川口】を少しずつ追い詰める結果となっていった。実際、5時間経過時点でも、121周をクリアしたこの2チームの順位は変わらない。なお、3番手の【#66 ライディングスポーツファイヤー66】や【#181 イワイサーキットfeatMF】が118周と、残り2時間を残して3周差をつけていたことからも、この2チームが突出していたことが理解できる。そして【#12 CLUB1.2FKクシタニ川口】がピットインしたタイミングで、いよいよ【#30 オートテクニックスポーツ】がトップへと浮上。6時間経過時点で共に145周をクリアし、さらにここで後続に5周以上の差をつけていた。そしていよいよ迎えたラスト1時間。燃費走行で淡々と走り続ける【#30 オートテクニックスポーツ】と、ハンデをカバーするために速いラップタイムで追い上げる【#12 CLUB1.2FKクシタニ川口】の勝負に注目が集まっていた。
ところが、残り約40分の時点でそれまで順調だった【#12 CLUB1.2FKクシタニ川口】が130Rでマシンストップ。なんとここに来てトップ争いから離脱するという結末を迎えたのだった。この結果、5回ピット作戦で終盤まで走り続けた【#30 オートテクニックスポーツ】が168周を周回してトップでゴール。総合優勝と共に、WSクラス優勝を達成した。
「燃費が厳しかったので、ライバルが130Rで止まっているのを見るまでは、まだまだ安心できなかった」と語っていたが、自ら「秘策」と呼ぶピットイン回数を減らす作戦は間違ってないことを証明してみせた。続く2位争いは、電装トラブルにより一時は3位に後退したが、その後トラブルを乗り切って再度2位のポジションを奪い返して、2年連続となる総合2位でゴール。なお、BRAVEクラス優勝も達成している。3位には、終盤まで表彰台争いを繰り広げてきた【#66 ライディングスポーツファイヤー66】の離脱もあり、【#53 MagicInjectorRT】がWTクラス優勝と共に総合3位を獲得した。
こうして、ツインリンクもてぎの今年の4大耐久の最後を飾る“もて耐”が、無事幕を閉じた。今回、表彰台を獲得したチームは全て参加クラスが異なるチームばかり。各クラスに設定されたレギュレーションの違いを上手く活用して7時間耐久レースを戦うという、“もて耐”ならではの魅力が、存分に発揮された大会となった。