
“世界最大級の草レース”として多くのバイクファンに親しまれている“もて耐”は、今年で16回目の開催を迎えた。8月24日(土)、公式予選に参加したチームは総勢116チーム。翌25日(日)に開催される7時間耐久決勝進出に向けて、例年以上に熱いタイムアタックが繰り広げられた。“もて耐”の予選は、全参加チームをAとBの2グループに分別し、第1ライダーと第2ライダーのベストタイムの合算で順位が決まる。つまり、予選で上位を獲得するには、この2名のライダーの走りにかかっているのだ。早朝まで残っていた雨の影響で、コース上は若干ウェットパッチが残っていたものの、天候は晴れという状況で、午前8時、Aグループの第1ライダーのセッションからスタートした。
このグループでは、BRAVEクラスに参戦する【#12 CLUB1.2FKクシタニ川口】の長野選手が序盤から快調に飛び出し、2'18.642のベストタイムを記録。同じくBRAVEクラスの【#6 ピューピュー電設・坂井洸至】の田浦選手も素晴らしい走りを披露して2'19.887のベストをマークした。この二人に続いたのは、【#30 オートテクニックスポーツ】の宮園選手だったが、2'22.790と上位2名から大きく離される結果に。路面コンディションがまだ完全にドライだったわけではないため、ライダーの実力差が如実に現れる結果となった。
続く第1ライダーBグループのセッションは、Aグループと比較して明らかに路面コンディションが改善。その結果、WTクラスに参戦する【#4 チームペンスケ】の石塚選手が、2'18.215をマークして、Bグループのトップに浮上。しかも、この記録は“もて耐”WTクラスのコースレコードだった2'18.440を更新する素晴らしい走りだった。続いたのは、同じくWTクラスに参戦する【#83 YSSレーシング・マーキュリー】の山本選手で、2'19.930をマーク。さらに、【#1 YSSレーシング・ブルドッカータゴス】の小坂橋選手が2'20.969と続いた。レコードライン上がドライへと変化していったこともあるため、3番手以降も、Aグループと比較するとタイム差が拮抗しているのが特徴的だった。
続く第2ライダーAグループでも、【#12 CLUB1.2FKクシタニ川口】の佐野選手が大活躍。予選タイム2'17.637は、この後に出走したBグループも含めて、唯一の17秒台となり、第2ライダーのトップタイムとなった。【#4 チームペンスケ】の鈴木選手はBグループ、WTクラスでの出走で2'18.497で2番手、【#30 オートテクニックスポーツ】の森山選手はAグループ、WSクラスの出走で3番手。そして、Bグループで出走の【#1 YSSレーシング・ブルドッカータゴス】金山選手が、2'21.179で総合4番手、WTクラス2番手につけた。
こうして全ての第1・第2ライダーによるセッションが終了した結果、ポールポジションを獲得したのは、合算タイムで4'36.279をマークした【#12 CLUB1.2FKクシタニ川口】となった。同チームは、“もて耐”参戦4年目で、昨年は7時間耐久で総合2位を獲得した実力の持ち主。「去年が総合2位だったので、今年はポールポジション&優勝を狙っていました。だから、予選1位の段階でまず一つの目標をクリアできましたね。でも、僕たちが参戦するのは給油時間で他クラスよりもハンデがあるBRAVEクラス。そのハンデを無くすためにはラップタイムを速くしなければいけない状況だと思っています。」とコメント。その言葉通り、ハンデを覆す速さを決勝レースで見せつけてくれることを期待したい。
そして、午後1時30分には、惜しくも予選通過できなかった39チームによる4時間耐久レースを実施した。恒例となっているル・マン式スタートからのホールショットを決めたのは、予選1番手スタートだった【#130 Garage130R&Jr’s】だった。オリジナルマシンでBRAVEクラスに参戦し、1周目から2番手以降の後続に圧倒的な差をつけてトップを独走。2位に、【#69 ビジネスラリアート&withRS】、3位以下の集団は、【#35 尾上サービス】、【#18 クォーレロッソ☆インディーズ】、【#822 RT爆走セナ】、【#881 8810R】らが続いた。
4時間耐久レースも、決勝中のガソリン給油は必須。また、クラスによりハンデもあるため、速さは圧倒的な【#130 Garage130R&Jr’s】だったが、給油時間の長さをどうカバーして勝利へと繋げるのかが見もののレース展開となった。
スタートから1時間が経過する頃、トップを独走中の【#130 Garage130R&Jr’s】が給油のためにピットイン。その間に2番手争いを繰り広げていた【#69 ビジネスラリアート&withRS】がトップへと浮上。約コンマ7秒差で【#18 クォーレロッソ☆インディーズ】、3番手に【#108 水中カメラのアンサー+諸遊農場】、そして【#130 Garage130R&Jr’s】が4番手となった。この1時間前後を挟んで各チームがピットインをするなか、【#69 ビジネスラリアート&withRS】がピットインの気配を見せずに走行を続ける。結果的に同チームは、「1人のライダーの連続走行時間は90分まで」というレギュレーションをギリギリまで活用し、スタートから1時間30分が経過する午後3時頃に、ようやく最初の給油へと向かった。
その後のレース展開は、【#130 Garage130R&Jr’s】が圧倒的な速さで逃げる。そして、ピットインの度に【#69 ビジネスラリアート&withRS】がトップに浮上するという展開が、3時間経過時点まで繰り広げられた。この時の周回数は、この2チームが同一周回の69周。3番手以降は、【#18 クォーレロッソ☆インディーズ】、【#921 PEPSIMAN+國井設計+直】、【#88 プランビーレーシングチーム×ARATA】の3チームが1周遅れの68周で続いていた。
さて、注目されていたトップ争いだったが、最後まで独走という言葉が当てはまる異次元の速さを見せ付けた【#130 Garage130R&Jr’s】がそのまま95周を走りきりトップでチェッカー。BRAVEクラスに科せられる給油時のピットイン時間のハンデを、速さでカバーした走りは、正に完勝といえる強さだった。また、途中まで善戦していた【#69 ビジネスラリアート&withRS】は、結果的に3周遅れの92周でゴールし総合2位に。3位には、序盤から淡々と走り続けてきた【#88 プランビーレーシングチーム×ARATA】が入賞した。