
一週間前に開催した“オープンもて耐”に続き、2010“もて耐マスターズ”を開催した。
“オープンもて耐”と同様に残暑が厳しい天候となったが、決勝レースに参加した全25チームは、楽しい夏の思い出を作るべく、それぞれの思いを胸に、“もて耐マスターズ”を楽しんだ。
午前10時、耐久レースを象徴するル・マン式スタートで決勝レースがスタート。絶妙なタイミングでホールショットを奪い、そのままオープニングラップを制したのは、最高の予選物語を演じ、ポール・ポジションを獲得した【#1 NRプロジェクト&ヨコヤマ】の中野錦四郎選手だった。その後を【#17 WITHME RACING】の丸山浩選手、【#22 浜松エビスモータース&PANOLIN】の加藤秀峰選手が続いた。この3台は、序盤から2分4秒台をキープしながら、まるでスプリントレースであるかのような接戦を展開。その後、19周目に【#17 WITHME RACING】が給油とライダー交代のため、上位3台の中でいち早くピット・イン。続いて、22周目に【#22 浜松エビスモータース&PANOLIN】が、24周目に【#1 NRプロジェクト&ヨコヤマ】がそれぞれ1回目のピット・インを行い、各チーム順調にレースを進める。
スタートして2時間が経過するくらいから、上位チームの周回数に少しずつ動きが出てくる。トップ争いを展開する2チームは、【#1 NRプロジェクト&ヨコヤマ】がSSクラス、そして【#24 2りんかんR.T.】がB1クラスという事で、ピット・イン回数の違いが勝負の分かれ目になるかと予想された。そのため、燃費の問題で必然的に給油回数が多くなる【#1 NRプロジェクト&ヨコヤマ】は、ピット・イン時のタイムロスを考慮し、他のチームを上回るラップタイムをライダー全員でマークし、逃げる作戦に。
一方の【#24 2りんかんR.T.】は、6回ピット・インで安定したタイムで走り続けることを目標に頂点を目指していた。その結果、3時間終了時点までは、両チームとも83周の同一周回数で走行を続けていた。
4時間終了時点で【#1 NRプロジェクト&ヨコヤマ】が110周を走行し、2番手以下に1周の差をつける事に成功。【#24 2りんかんR.T.】がそれに続き、【#22 浜松エビスモータース&PANOLIN】が108周で3番手、以降【#70 リリカ・AMENA】と【#17 WITHME RACING】が続く。
マスターズらしく様々なマシンが、それぞれのドラマを作りながら、時間が過ぎて行き、残り1時間を切る。各チームがそれぞれ最後の走行に挑む。ラスト40分頃に、2番手を走行していた【#24 2りんかんR.T.】が、給油とライダー交代で、最後となる予定通り6回目のピットストップを済ませる。続くように、トップを快走していた【#1 NRプロジェクト&ヨコヤマ】も8回目のピット・イン。給油とライダー交代を無事済ませ、最後のライダーを送り出した。タイヤ交換をしていないにもかかわらず、2分3~4秒台の安定したラップタイムで周回。
しかも、179周目には、S字からV字の立ち上がりで【#24 2りんかんR.T.】を捕らえ、完全に2周差をつけ勝負あり。その結果、“もて耐”史上最多周回数となる191周を周回し、【#1 NRプロジェクト&ヨコヤマ】が悲願の初優勝を達成。
「2010年はNRプロジェクトとしては、参戦の予定がありませんでした。エントリー締切のギリギリまで待って、モトガレージヨコヤマさんと、車両オーナーの新井さんの協力があったからこそ、このような結果が獲得できました。決勝レースに関しての作戦は特になく、それよりも予選でコースレコードをマークすることしか考えていませんでした。でも、みんなが安定したペースで走れていたので、誰がどの順番で走行してもこの結果になったと思います。2011年で、“もて耐マスターズ”が最後になるので、2011年こそコースレコードをマークして、“もて耐”の永久レコードを刻みたいですね。それと、どこかの雑誌媒体さんとタッグを組んでみたいとも思います。どなたか興味があれば、ぜひご連絡ください!」とコメント。
【#24 2りんかんR.T.】は189周で惜しくも2位。「2りんかんという会社の看板を背負っていて恵まれた環境で参戦できているのに、ライダーの練習量が足りなかったです。2011年は、今までにないくらい練習をして、“もて耐”に挑みたいと思います」と、意気込みを見せてくれた。
3位には、188周の結果を残した【#22 浜松エビスモータース&PANOLIN】が入り、「レース前にライダーの佐野選手が自転車でケガをしてしまい、彼が出走できなくなってしまったのが残念です。13年ずっと、“もて耐”に参戦を続けているので、2011年も参加して、皆勤賞を守りたいですね。もちろん、フィナーレとなる2011年こそは、佐野選手にちゃんと走ってもらいます!」とコメント。
なお、レース中のベストラップは、【#17 WITHME RACING】の神永暁選手が176周目に2'01.451 をマークしている。
こうして、2010年の“もて耐”は、幕を閉じた。2011年には、マスターズがグランドフィナーレレースとなり、ひとつの歴史に終止符を打つ事となるが、もて耐の魂は、“オープンもて耐”に引き継がれていく。
これからも様々なドラマが生まれる事には変わりはないが、最後の“もて耐マスターズ”への熱い強い思いが、もうすでに多くの参加者から伝わってくる。走っても観ても満足できる“もて耐”にどうぞご期待ください。